2011/01/13

フランスのオトコとオンナの事情4

アンヌの20歳の誕生日、父は自分の友人たちを自宅に招いた。キッチンに細長いテーブルを2つ並べ、北アフリカの名物料理タジンでお祝いがはじまった。レストランを経営するモロッコ人夫妻による特製品、羊肉と野菜や豆の煮込み料理だ。

父がテーブルの一方に座り、反対側には父の恋人。父の隣はアンヌと彼。その隣がアンヌの母と恋人。招待客のなかには、毎回同伴者が変わるリオネルと恋人や、ベトナム人と再婚した雑貨店経営者、それに恋人ができない男と老父がいつも通り寄りそって座っていた。

父はまもなく4人目の妻を迎えようとしている。それを上回るのが友人リオネル。すでに結婚歴7回、子どもは婚外子を含め11人。内装関係の事業が軌道にのり、金に不自由ない裕福な暮らし。新鮮な恋のためなら慰謝料支払いも物ともしない。いまの恋人は2人の娘を夫のもとに残し、リオネルの元へやってきた。リオネルは8人目の妻に選ぶだろうか。

フランスは、EUで最も高い出生率を誇るが、婚外子が半数以上にのぼる。正式な結婚だけが愛の形ではない。例えば、1966年のカンヌ映画祭で最高の賞(パルム・ドール)を受賞した映画「男と女」、監督のクロード・ルルーシュは結婚したのは2度でも、4人の女性との間に7人の子どもをもうけている。恋愛映画の大御所、クロード・ルルシュは、2007年のカンヌ映画祭(516日~27日)でも3つの作品を披露する。

アンヌの誕生会は、食後酒にアルマニャックがふるまわれ男たちは別室で葉巻を吸い始めた。白髪が混じりはじめたオトコたちが恋の話に花を咲かせている。

雑貨店経営者はベトナム人の妻と2人の娘との生活に満足しているが、フランス人の愛人たちも手放せない。パリでは正妻がフランス人で、愛人が外国人というケースが目につくが、彼は2度目の結婚で外国人を正妻にした。cinq-à-sept(夕方5時から7時まで)、職場を出て自宅に戻るまでつかの間の時を愛人と過ごす。

40歳を過ぎても恋人がいない息子に寄り添う老父はいつも息子の話ばかり。まるで息子に恋をしているかのようだ。結婚歴7回のリオネルは、どうやら別の恋人がいるらしい。マルタ島へのバカンス旅行を計画中だ。

恋に生きるオトコたちは人生を満喫している。

(mainichi.jp 2007年5月11日掲載したものを一部修正)

1 件のコメント:

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