2011/02/09

フランスのカップルの形③~結婚

グラフィックデザイナーのシャルロット(30)と医療機関に勤めるパスカル(40)1年前に知り合い、3ヶ月ほど前に結婚することを決めた。来年8月にカトリック教会で結婚式を挙げる予定だ。

フランスでは1970年代には約40万組が結婚式を挙げていたが、年々減り続け去年は274400組。そのうち、教会で挙式するカップルは半数で、結婚と教会から遠ざかる傾向がある。

2人が結婚を選んだのは、両親が離婚をせずに今日に至っているから。約半数の夫婦が離婚するフランスで、彼らの友人たちは結婚に不安を感じ、離婚を恐れているという。2人は幸いにも結婚にマイナスイメージを感じていない。

パリ14区にある近所のカトリック教会を訪ねた2人は、結婚式までの準備を司祭と話し合った。挙式準備中のほかのカップルたちと交流して意見交換をしたり、結婚10年、20年を経た既婚カップルから経験談を聞いたりする。

こうした交流会は、カトリック教会の「結婚準備センター(Centre préparation au mariage)」が主催し、フランス全土では毎年10万組が参加するが、パリでは700組ほどにとどまる。
大都会のカップルは伝統的な準備過程を敬遠する。

責任者として20年来係わっているクロード・エリアル氏によると、「以前はグループ交流が主だったが、10年ほど前から年配夫婦と個別に面談するケースが増えている」と言う。これなら、膝を付き合わせて話をすることができる。

シャルロットとパスカルも、一組の年配夫婦を訪ねる予定だ。「貞操義務とは、夫婦の危機をどう乗り越えたか、子どもが生まれたら、生まれなかったら。生活の基盤について話を聞くことは重要」とシャルロット。

コミュニケーションを深めるには努力が必要。週末の予定や晩御飯のメニューを話し合っても深まらない。「お互いの考え方や違いを知る機会にしたい」とパスカル。2人はクリスマスに婚約し、年明けにも年配夫婦に会いにいく。

日本では憧れの教会ウェディングだが、フランスでは多くのカップルが「古い、わずらわしい」と表現する。教会での伝統的な結婚を望む2人のようなカップルは貴重な少数派だ。
(mainichi.jp 2007年11月13日掲載)

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