2011/02/09

フランスのカップルの形②~パックスその2

結婚でも同棲とも異なるフランス独自のカップルの形、パックス(PACS)がはじまって今年で10周年を迎えた。日曜日に発売される新聞、ル・ジョーナル・ド・ディマンシュは、一面に「パックス大成功」と見出しをかかげ、この契約を称えている。10年間でパックスを結んだカップルは50万組を超えた。

去年1年間に結婚したカップルは273500人。10年間ほぼ横ばい。一方、パックスを結んだカップルは20倍増えて、143000人。婚姻制度を崩壊させることなく、この新しい制度はフランス人を魅了し、定着した。

理由は、結婚に比べて契約の締結や解消が簡単で、結婚しているカップルと同じように一つの世帯として所得税の申告ができること。このほか、結婚までの第一ステップ、つまり婚約のように位置づける人も多い。子どもを授かるなど、あるきっかけで結婚に進んでいく。

パックスは、フランスだけでなく、フランスに住む外国人にも認められている。条件は、国籍を問わず共通で、兄弟姉妹など直系親族同士でないこと。重婚およびパックスをすでに結んでいる状態でないこと、など。

2007年にコラムでパックスをご紹介した後、私も日本人のパートナーとパックスを結んだ。
フランス人の動機と同じで、簡素な手続きや税制優遇措置に惹かれたこと。パスポートや証明書などの姓を変えることなく、カップルとして公に認められることも魅力だった。

区役所と同じ建物のなかにある小審裁判所で必要書類を聞く。外国人であり離婚経験のある私の場合、日本から取り寄せる書類が多く複雑だった。フランスに支払う手数料は全くないが、書類を法定翻訳家に依頼しなければならず、その額は決して安いものではない。

次に、大審裁判所の別館に出向いて「パックス未締結」の証明書を発行してもらう。所用時間5分。再び小審裁判所に行き、書類を提出。指定された日に、小審裁判所に出向くと、小さなオフィスに呼ばれて、A4の紙に2人の名前、生年月日、出生地が記載された「連帯市民契約締結宣言記録受領書」が一枚ずつ手渡された。「紛失しても再発行しないので注意して。はい、終わり」、評判通り簡素な手続きだった。

家族も友人も同伴せず、セレモニーもない。現代フランス人の仲間入りをした。日本にいる時よりも、2人で暮らすための選択肢がひとつ多かったのは喜ばしい。

(mainichi.jp 2009年1月26日掲載)

※書類の翻訳に懲りたにもかかわらず、その後
結婚することを決め、再び、書類の山に埋もれました。

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